保守雑誌感想文【2020年2月】
心に残る言葉(特集より)
特集 心に残る言葉 で紹介されていた言葉についてここでまとめたいと思います。
まずは明恵上人の言葉です。
「人は阿留辺幾夜宇和と云う七文字を持つべきなり」
言葉は続きます。
「僧は僧のあるべき様、俗は俗のあるべき様なり。乃至、帝王は帝王のあるべき様、臣下は臣下のあるべき様なり。此のあるべき様を背く故に一切の悪しきなり」
いまの言葉で表すならば、上司は上司の、部下は部下の、父母は父母の、子弟は子弟としてのあるべきようを持つことが大事であり、そのあるべきようから外れた時に様々な不都合が生じる、というところでしょうか。現在我々が毎日のように直面している事件の本質を、この言葉はついているようです。心しておきたい言葉です。
「古語に、之を思い之を思いてやまざれば天之を助く、と云えり。之を勤めて勤めてやまざれば又天之を助くべし」—二宮尊徳
ここでいう古語とは『管子』のことになります。これを何としても実現したいと思い、思い続けていると天が助けてくれると『管子』にありますが、一つのことをことを実現したいと懸命に勤め、勤め続けていると、天はまたそういう人を助けてくださる、と尊徳は述べています。艱難辛苦の中から一業を成した人物の体験から出た言葉は力強いものです。
「誓心決定するが故に、十方の諸仏、皆悉く証知し給う」
心に誓うものを持ち、それを成さんと心から決心すれば、仏さまがみな応援してくれる、ということです。
現代の哲人二人も同じ意の言葉を残しています。
「新しき計画の成就はただ不屈不撓の一心にあり。さらばひたむきに、ただ想え、 気高く、強く、一筋に」—中村天風
「人はその一心だに決定すれば、如何なる環境に置かれようとも、何時かは必ず、道が開けてくるものである」—森信三
二千五百年前から現代まで、覚者たちは一様に心の力の大切さを説き、心の持ちようが人生を開く鍵であることを教えてくれています。
万事働きて益と為す
牧師/人生やり直し道場理事長 鈴木啓之氏のインタビュー記事より。
元ヤクザの牧師の鈴木氏が自身の活動や回心を遂げる道のりを語っているのですが、個人的にはそちらよりも、
- どうしてヤクザになってしまったのか(ならざるを得なかったのか)
- ヤクザになるまでにどういう段階を踏むのか
- ヤクザになってから~奈落を彷徨った人生
という話の方が興味深かったです。
鈴木氏なりの躓きがあって、ヤクザの世界に入ってしまったんだな、と思うのと同時に、こうした躓きは何も鈴木氏だけの特別なものだけではなく、きっかけだけなら誰の身にもあってもおかしくないことなんだな、と感じました。
井の中の蛙になるな
サントリーホールディングス社長 新浪剛史氏の記事より。
二十代をどう生きるかという連載です。
入社時にいただいた二つの教え
新浪氏が三菱商事に入社して先輩から教わり実践していたことが二つあるといいます。
一つ目が休日の使い方について。「なぜ週二日の休みがあるか知っているか?それは、一日は勉強し、一日は趣味のためである」
そう学んでから、土曜日は毎週神奈川県立図書館に通い、十時から十八時まで勉強に打ち込みました。
どっひゃー。週二日の休みのうち一日を二日酔いで潰してるようじゃダメだこりゃ。
休日を丸々勉強にあててる二十代なんて恐ろしすぎる。遠くから見てる分にはカッコいいけど、近くにいたらすごくイヤですネ。敵には回したくないし、身内にも居てほしくないです。
二つ目が「朝一番に出社し、夜は最後に帰宅しろ」との教えです。
(略)最近の働き方改革に一見反するようですが、自ら成長の機会を増やすことで確実に実力を養うことができました。
こんな教えを言ってくる先輩、身近にいたらイヤですネ。何で出社・退社時間を先輩にコントロールされなきゃいけないんでしょう。僕だったら反発心をおぼえます(こうして僕は自ら成長の機会を逃していくのです)。ちゃんと従っていた新浪氏は相当素直な人材だったのでしょう。
引き上げられる人の秘密
新浪氏は目上の方から目をかけてもらえる鍵が二つあると言っていたので、ここで紹介したいと思います(そういえば、さっきの先輩の教えも二つでしたね)。
一つ目は「礼儀正しさ」。当たり前のことですが、明るい挨拶、清潔感溢れる格好などは絶対に欠かせません。
二つ目が「必ず礼状を書く」ことです。いまのようにメールがないので、名刺交換をしたら必ず手紙を書いていました。
僕は「マメでだらしなさを徹底的に排除した人物」という印象を受けました。仕事も当然できる人物なのでしょうが、プライベートではさぞかしモテていたことでしょう。マメなオトコはモテますから。
茶化すのもほどほどにして、最後に新浪氏からの(若い方への)メッセージを紹介します。
若いうちは将来像が明確に描けずともいいと思います。好奇心に従って様々な挑戦をする。壁にぶつかり失敗を繰り返し、経験を積むことで自らの進むべき道を見出していくことができるのです。
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