ホウ砂に吹かれて

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中野信子先生の『脳内麻薬』を読んで

脳内麻薬 人間を支配する快楽物質ドーパミンの正体 (幻冬舎新書) [ 中野信子 ]

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感想(9件)

『脳内麻薬 人間を支配する快楽物質ドーパミンの正体』の大まかな内容

第1章 快感の脳内回路では、

  • ラットの脳内に電極を埋め込む実験に始まり、報酬系を発見するに至るまでの解説
  • ドーパミンをはじめとする各種脳内ホルモンの説明

が中心となっています。

続く、第2章 脳内麻薬と薬物依存では、

  • 脳に影響を与える薬物の種類とその働き
  • ドーパミン分泌の仕組み

が解説されています。

そして、第3章 そのほかの依存症では、

  • 過食、セックス、ギャンブルといった“依存症”として有名なもの
  • 恋愛、人間関係への依存といった性格との見分けが難しいもの

ともに脳科学的に説明が加えられています。

最後の第4章 社会的報酬では、

  • 独裁者ゲーム、最後通牒ゲームといった心理学ゲームの紹介とそこから明らかになったこと
  • 幸福について(年収や死亡リスクとの関係)

などの内容でまとめられています。

(すでに読まれた方、ネタバレになってませんよね?)

 

アヘン戦争とイギリスの(悪い意味での)賢さ

アヘン戦争、学校の社会科で習いましたネ、僕もうっすらと記憶にあります。でも、この本で取り上げられると、またちょっと見方というか、気分が違います。

(略)
 これによってイギリスの貿易収支は一気に改善しましたが、今度は中国に大量のアヘン輸入に苦しみはじめます。国内にはアヘン中毒者が溢れ、貿易収支も一気に赤字になり銀が国外に流出します。当時の中国政府である清朝何度もアヘンの輸入を禁止しようとしますが、国内の大量の中毒者がアヘンを手に入れようとするのでうまくいきません。
(略)
この戦争においてアヘンの持つ中毒性が大きな役割を果たしました。イギリスは本来ならば自国製品である綿製品を清朝に売りつければ良かったのですが、中国には優秀な絹製品があるので、それがかないません。そこで一度中毒になったら、永遠に消費せざるを得ない麻薬を代わりに売りつけたのです。

学校の社会科では、アヘンの持つ中毒性に触れた教え方はしていなかったような気がします。僕が真面目に先生の話を聞いていなかっただけでしょうか。
我が国でもイジメか、と言いたくなるほど煙草の税金が上がっているにもかかわらず、「今度税金が上がるから(という理由で)、煙草をやめざるを得ない」って言って本当にやめてしまった喫煙者を見たことがありません。少なくとも僕は。
煙草でさえそれだけの依存性があるのに、それ以上のアヘンを売りつけたイギリスの(悪い意味での)賢さはなかなかのものです。さすが海賊の末裔だけのことはありますネ。

 

bushoojapan.com

アヘン戦争についての記事。なかなか面白く読めました。

お金であなたの愛情や友情は買えますか?

「お金やあなたの愛情や友情は買えますか?」と訊かれたら、なんて答えますか?
おそらく、多くの人の答えは「NO」でしょう。

しかしながら、これは後天的な教育によって、お金で愛情や友情を買うことを不徳とする価値観を植え付けられているからであり、実際は脳科学的には「YES」という答えになってしまうようなのです。
(しかしながら、見方を変えると、それだけ後天的な教育って強力なんですネ)

この本では、”お金で愛情や友情を買うこと”について、(実験結果を承けて)このように述べられています。

(略)
 つまり「社会的報酬」とは言葉の上の遊びではなく、能にとってはまさしく「報酬」そのものであることを示しています。それだけではなく、社会的報酬と金銭的・生理的報酬が脳の同じ部分で評価されているという事実は、これらが交換可能であることを示します。非常に単純化してしまうと「お金」で「友情」や「愛情」が買えるということです。逆に、「愛情」を「お金」に換えることもできます。

ここで、中野先生には悪いのですが、言葉尻を捉えると、「非常に単純化してしまうと」というところが気になっていて、「じゃあ、単純化する過程で省かれたものは何だ?」とか「単純化せずに説明すると、お金と友情や愛情を交換する際に複雑な条件がついて回るのか?」とか思ってしまいましたが、おそらくそういうことではないのでしょう。
脳科学を勉強していない人間は余計なことは考えない方が良いのかもしれません)

 

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今回のエントリはここまでにさせていただきます。

次回またお会いしましょう!

 

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