ホウ砂に吹かれて

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吹奏楽コンクール2019第57回岩手県大会高等学校の部に行ってきました

 

表題の件、今年も聴きに行きましたので、ご報告いたします!

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昨年のエントリ↓

hebo-chan.hatenablog.com

 

大会の概要と結果

概要

全日本吹奏楽コンクール第57回岩手県大会
●高等学校の部
●大学の部

2019.07.27 岩手県民会館大ホール

審査員:大浦綾子(東京佼成ウインドオーケストラ クラリネット奏者)

    大城正司(洗足学園音楽大学講師 サクソフォーン奏者)

    滝澤尚哉(洗足学園音楽大学講師 指揮者)

    寺田由美(マリンバ・打楽器奏者)

    次田心平(読売日本交響楽団 チューバ奏者)

    古田俊博(東京フィルハーモニー交響楽団 首席トランペット奏者)

    丸田悠太(東京佼成ウィンドオーケストラ ピッコロ・フルート奏者)

審査結果

今年も東北大会への狭き門をくぐり抜け、高等学校の部では4校が推薦されたわけですが、このうちの盛岡第三高等学校は2015年から5年連続で、専修大学北上・黒沢尻北両高等学校は2013年から7年連続で、花巻北高等学校は3年ぶりの東北大会出場となります。おめでとうございます!

(さらに、黒沢尻北高等学校は2年連続で全国高等学校総合文化祭へ推薦されました。すごいですネ!)

 

個人的に引っかかるところがあった学校とその感想

1.盛岡第三高等学校(指揮・佐藤清一)

課題曲:Ⅲ 行進曲「春」(福島弘和)
自由曲:道化師の朝の歌(M.ラヴェル/小野寺真編)

朝一番の出演順(10:00~)ということで、我が身を振り返ってみると、10時って本格的な仕事に取り組むにはまだ目覚め切ってない時間だよな~、なんて思いながら(ダメな社会人ですネ)皆様の演奏を聴かせていただきました。
全体的に完成度は決して低くはないのですが、朝早い出演順のためか、やはり個々・全体ともにサウンドが今一つという印象を受けました。どちらかというと、直線的なサウンドというカンジです。自由曲では多少エンジンもかかり、素晴らしいソロ群を楽しませていただきました。しかしながら、僕個人としては”魅力的なp→fへのプロセス”が吹奏楽に編曲されても失われないラヴェルの特徴の一つだと思っているのですが、それが今一つ伝わってこないように思いました。
東北大会までにさらに磨きをかけた演奏を期待しています。一番応援しています。—金賞・代表

3.一関学院高等学校(指揮・本庄和彦)

課題曲:Ⅳ 行進曲「道標の先に」(岡田康汰)
自由曲:ラ・フォルム・ドゥ・シャク・アムール・ションジュ・コム・ル・カレイドスコープ(天野正道

まず、課題曲の前半まで聴いた印象は「良くも悪くも統率が取れた演奏」です。”統率が取れた”という意味ではこちらのバンドがこの日一番だったように思います。そしてその印象は自由曲でも変わりませんでした。
課題曲での、mpやmfの(特に木管群の旋律の)の取り扱いですが、必要以上に弱奏にしているように感じられました。そうすることで、アーティキュレーションの正確性やイントネーションが揃っていることが分かりやすくなることを狙っているのかもしれませんが、個人的には感心しませんでした。
良く言うと”工夫”、悪く言うと”作為的”ということになるのかもしれませんが、演奏上の”工夫”で感銘度アップすることはあっても、”作為的な”演奏からは感銘は生まれないと思うのです。—金賞

4.専修大学北上高等学校(指揮・安藤拓也)

課題曲:Ⅲ 行進曲「春」(福島弘和)
自由曲:BACHの名による幻想曲とフーガ(M.レーガー/田村文生編)

個人的には、この日一番の課題曲Ⅲと感じました。セッティングに関していえば、シングルリードの楽器(クラリネット、サクソフォーン)を最前列に配置するのは好きではないのですが、このバンドに限って言えば、木管群のバランスを絶妙に考慮された配置となっており、特にそれが課題曲で活かされていたように感じます。
また、Iの5小節目のmpから、Jのmf、Kのfに至るまでの経過(クレッシェンドと言い換えてもいいかもしれませんが)を的確にとらえ、”一番上手に”表現できているのがこのバンドでした。流石です。
自由曲に関しては、初めて聴く曲だったのですが、テクニカルな部分をちゃんと練習されているのは伝わってきたのですが、変化に乏しいように感じたのは、曲の性格でしょうか?それとも僕の音楽的素養のなさでしょうか?
東北大会ではどのような演奏になっているのでしょうか?楽しみです。—金賞・代表

5.宮古高等学校(指揮・佐藤允治)

課題曲:Ⅲ 行進曲「春」(福島弘和)
自由曲:歌劇「タイス」より(J.マスネ/宍倉晃編)

このバンドもよく統率が取れた演奏をしていたように思います。
欲をいえば、ダイナミックレンジをより広げ、特に自由曲で取り上げた歌劇のような作品では、音楽表現をもっと思い切りよく(大袈裟に)してもよかったのではないかと感じました。—金賞

8.盛岡第一高等学校(指揮・昆靖智)

課題曲:Ⅱ マーチ「エイプリル・リーフ」(近藤悠介)
自由曲:バレエ音楽「三角帽子」より(M.ファリャ/森田一浩編)

抑制のきいた、垢ぬけたサウンドが特徴的でした。個々の奏者の主体性が反映された演奏ながら、先生の独特な打点の低い指揮(懐かしい…)でまとめ上げるというスタイルの演奏です。
自由曲冒頭(粉屋の踊り)のチューバの一発には吃驚(かつ苦笑い)してしまいましたが、演奏全体を振り返るとまとまりがありました。各曲の性格を的確に表現されていましたし、場面転換も見事でした。小さな傷が散見されたのは惜しいですが、もしや…と思わせられた演奏の一つでした。審査は厳しい…。—銀賞

11.花巻北高等学校(指揮・佐々木一昭)

課題曲:Ⅲ 行進曲「春」(福島弘和)
自由曲:交響曲第2番「キリストの受難」(F.フェルラン)

課題曲については、基礎的な力があるバンドだということはわかるのですが、各声部の活かし方やダイナミクスのとらえ方など、他の課題曲Ⅲを取り上げて上位の評価を受けた学校と比較すると今一歩遅れを取っているように聴こえてしまいました。
自由曲はガンガン鳴らす曲というイメージが定着していますが、逆に音が薄くなった際にハーモニー・サウンドの美しさや豊かさを追求されるとステップアップになるかと思います。
東北大会までに乗り越える課題は多いかもしれませんが、その力を持っているバンドだと演奏を聴いて確信しておりますので、応援しております。—金賞・代表

12.盛岡市立高等学校(指揮・古舘順一)

課題曲:Ⅲ 行進曲「春」(福島弘和)
自由曲:ブリュッセル・レクイエム(B.アッペルモント)

課題曲Ⅲを取り上げた各校、神妙なカンジの音楽表現が多かったように感じましたが(自覚あります?)、こちらのバンドは明るく快活な音楽づくりをしていたのが非常に印象に残りました。
自由曲は昨年全国大会で話題になった、ブリュッセル・レクイエムです。まさか、岩手県大会高等学校の部で聴けるとは思いませんでした(失礼)。ハイトーンや細かい音符などテクニカルな部分のスゴさはお腹いっぱい堪能できたのですが、この曲は「レクイエム」ですので、そういった側面をもっと押し出した演奏を期待していました。コンクール以外にも演奏機会があれば、「レクイエム」としての表現を磨いていってほしいと思います。—銀賞

14.黒沢尻北高等学校(指揮・加藤忠樹)

課題曲:Ⅲ 行進曲「春」(福島弘和)
自由曲:富士山―北斎の版画に触発されてー(真島俊夫

二年連続全国高等学校総合文化祭への推薦、おめでとうございます。
課題曲冒頭から、堂々とした自信が感じられる演奏でした。自由曲の富士山も同様でしたが、自信だけではなく、(松岡修造さんチックな)”熱意”も欲しいところ。どうして”熱意”なんてことをいうのかというと、2017年の東関東大会の作新学院の富士山がまさに熱意の塊のような演奏だったわけで、それに衝撃を受けて以来、僕はちょっとやそっとの「富士山」じゃ動じなくなってしまったワケです。ですので、先日の岩手県大会では「ブラボー」が出たわけですが(OBなのか保護者なのかは知りませんが、僕は首をかしげてしまいました)、東北大会以上の大会で「ブラボー」に相当する感銘度を引き出すためには技術や自信のほかにも、演奏から”熱意”がにじみ出てくる必要があると思うんです。次のステップではそれを期待したいと思います。—金賞・代表

 

 

以上が2019年の吹奏楽コンクール岩手県大会のエントリになります。

(取り上げられなかった学校の皆様、ごめんなさい)

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

それでは、また次回も宜しくお願い致します!

 

2019年茨城県大会はコチラ↓

hebo-chan.hatenablog.com

2019年千葉県本選大会はコチラ↓

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