中野信子先生の『シャーデンフロイデ』を読んで(1)
いきなりですが、質問です。
「シャーデンフロイデ」という言葉はご存じでしょうか?
この言葉はドイツ語から来ていて、Schadenfreudeと綴ります。
この単語を二つに分解すると、
Schaden=毒、損害
freude=喜び
というようになり、
日本語で表すならば、「誰かが失敗したときに、
思わず湧き起こってしまう喜びの感情」という意味に
なるようです。
ここで、僕が「なるようです」といういい加減な(?)
表現を使ったのは、「シャーデンフロイデ」という言葉を
このように訳したのが僕ではなく、脳科学者として有名な
中野信子先生だからです。
ということで、余計な前置きをつけてしまいましたが、
今回は中野信子先生の新書であります、
触れていきたいと思います。
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『シャーデンフロイデ』を読み通して
中野先生が本の中で
メシウマ=シャーデンフロイデ
(※メシウマとはインターネットのスラングで、
「他人の不幸で今日も飯がうまい」の意)
という風に書かれていて、「なるほど」と
その分かりやすさに膝を打ったのですが、
この「シャーデンフロイデ」という感情がどこから
やってくるのかということについて、詳細に書かれております。
この本よりも先に出版された
『ヒトは「いじめ」をやめられない』では
いじめにまつわるホルモンとして、
オキシトシン・セロトニン・ドーパミンについて説明されていましたが、
それに対して、この本ではそのうちの「オキシトシン」について、
かなりのウエイトを置いて説明されています。
全体的な内容としては、中野先生がこれまでに出されてきた本で
触れられていた、
などの話題を改めて取り上げながらも、さらに内容的に踏み込み、
それに加えて様々な実験や具体例を新たに織り込んだ形になっていました。
中野先生のこれまでの著書を読んできた方であれば、理解がスムーズに
進むような手応えを感じながら読めるのではないかと思います。
ノロい人的「いいゾ、もっと言え」と思った箇所
よく耳にするのは「俺の若い頃はもっと大変だった」という中高年の言葉です。どうもこの言葉の意味を吟味すると、二つの点から、知的水準のやや劣る人の発言のように感じられてしまいます。
ここで取り上げられているみっともない老害中高年は中野先生から
「知的水準のやや劣る人」なんて言われてしまっています。
ざまーみろ。
話を戻して、中野先生の言うこの二つの点とは、
(僕なりにかみ砕くと)
- かつてそういう老害中高年を支えていた状況や他者からの好影響を考慮していない点
- 「大変さ」を測ることがほぼ不可能である点
のことを指しています。
特に「大変さ」を比較することは、研究者でも難しく、
第三者が定量化できる基準(そんなものあるのか!?と僕は思いました)
を導入して、ようやく測れるかどうかどうか・・・というところなのだそうです。
そして、中野先生からはさらにキツい皮肉が飛んできます。
これらの点が、想像力と論理的な思考力に、ついその年になるまで恵まれることがなかった人なのだろうかと、ちょっと悲しい印象を周囲に与えてしまうかもしれません。でも、ご本人は、ご自身の過去を誇らしく思い出すことができるだけの日々を送られているはずで、きっと毎日お幸せなことだろうと想像します。
改めて引用するとなかなか強烈な皮肉です。
誰かのことを念頭にでも置かないとここまでの表現にはならないのでは
ないのでしょうか?
もしも、周りに「俺の若い頃はもっと大変だった」なんて言い出す
みっともない老害中高年の方がいらっしゃったら、この皮肉を
思い出しながらやり過ごすといいと思います。
さらにもう一発。
決して、頭の良さや鋭さが、生き延びるのに重要なわけではないということを、私たちは肝に銘じなくてはなりません。
このような知的水準に劣る中高年にも学ぶところはあるということです。
別に頭の良さや鋭さが、生き延びるのに重要なわけではないんですよ?
なんか希望が湧いてきませんか?
ということで、知的水準に劣る中高年に希望を見出した(?)ところで、
今回はここまでにしたいと思います。
中野信子先生の『シャーデンフロイデ』については、まだ書いてみたいこと
があるので、気が向いたときにまた取り上げたいと思います。
最後までお付き合いいただきどうもありがとうございました。
ではまた、お会いしましょう!
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