ホウ砂に吹かれて

コンサータ72mg男が書きたいことを書きたいときに書くブログ

令和元年度(2019)第59回茨城県吹奏楽コンクール高等学校の部A部門行ってきたよ

 

おそくなってしまいましたが、表題の件、今年も聴きに行きましたので、ご報告いたします!

f:id:hebo-chan:20190810091600j:plain

 

 

昨年のエントリ↓

hebo-chan.hatenablog.com

大会の概要と結果

概要

令和元年度 第59回 茨城県吹奏楽コンクール 高等学校の部A部門

2019.8.8 ザ・ヒロサワ・シティ会館

審査員 小串俊寿(専門:サクソフォーン)
    楠木 慶(専門:クラリネット
    清水大輔(専門:作・編曲)
    堀 風翔(専門:ホルン)
    堀尾伸二(専門:打楽器)
    松岡裕雅(専門:オーボエ
    山本武雄(専門:トランペット・指揮指導)

審査結果

ç»å

茨城県内の19校の中から大成女子高等学校、水戸女子高等学校、常総学院高等学校、明秀学園日立高等学校、聖徳大学附属取手聖徳女子中学校・高等学校、茨城高等学校の6校が東関東大会に推薦されました。また、その中で常総学院高等学校が朝日賞(1位)を受賞しています。

また、下記ツイートには代表校内の順位の情報も出ています。

金賞受賞校とその感想

2.大成女子高等学校(指揮・船山貴司)

課題曲:Ⅴ ビスマス・サイケデリア I(日景貴文)
自由曲:ブリュッセル・レクイエム(B.アッペルモント)

本当に失礼ながら、先日の岩手県大会で聴いた課題曲Ⅴは「???」な仕上がりが多かったのですが、こちらの演奏は(現代音楽をよくわかっていない僕でも)ほとんどの音が音楽的な意味を持っていたように聞こえました。しかしながら、「今のこの音は何のための音?」「この音程は本当にこれでいいの?」「今ここの場面で必要とされる音(音型など)は本当に今のこの音?」という疑問が現代音楽の素人ながら感じる部分もわずかながらありましたので、細部の研究を東関東大会までに詰めてくるように期待したいと思います。
自由曲は今年大流行の"ブリュッセル・レクイエム”をもってきました。バンドの持つ力量の高さは決して低くないことはわかるのですが、昨年の"ローマの祭り"と比較してしまうとどうしても(曲同士を単純に比較できないことは重々承知しておりますが)スタミナ不足が否めない印象を抱きました。
課題曲・自由曲ともに難しい曲ではありますが、東関東大会でも感銘度の高い演奏を披露されることを楽しみにしております。

3.水戸女子高等学校(指揮・木村達也)

課題曲:Ⅲ 行進曲「春」(福島弘和)
自由曲:シネマ・シメリック(天野正道

課題曲は珍しいくらいに音価を大切にされて演奏されている演奏です。無理矢理音を処理させた形跡が感じられず、自然な演奏です。また、指揮をみていると各セクションの魅せ場をきちんと作っており、「ただスコア上の役割を果たせばよい」などという演奏が散見される中、非常に貴重な演奏です。さらに、トリオで発音を柔らかくする解釈は成功していたように思います。
自由曲はドラマチックな表現を念頭に、どこか”ねっとり”とした演奏に感じられました。これは演奏上の個性なので、良い・悪いではないとおもいます。ただ個人的に、テンポの遅い部分では"ねっとり"は必要だと思うのですが、テンポが速くなったときにそれが必要かはちょっとよくわからないです。

6.常総学院高等学校(指揮・本図智夫)

課題曲:Ⅰ 「あんたがたどこさ」の主題による幻想曲(林大地)
自由曲:楽劇「サロメ」より七つのヴェールの踊り(R.シュトラウス/本図智夫)

こちらも失礼ながら、先日の岩手県大会で聴いた課題曲Ⅰは「???」な仕上がりが多かったので、この日の常総学院様の期待していたワケなのですが、やはりなかなか難しい課題曲ですネ。「あんたがたどこさ」の主題がさまざま形を変えて出てくるわけですが、そこがいろいろある難しい点の一つだと思うんです。しかしながら、そこは流石の常総学院様、手を変え品を変え出てくる「あんたがたどこさ」の多種多様なアーティキュレーションにめけず対応するスキルは流石です。東関東大会でもパワーアップした演奏を聴かせてください!
そして自由曲のサロメですが、こちらは過去にも取り上げており、2001年は全国大会で金賞、2015年は惜しくも東関東大会金賞という成績でした。今年はどうなるのでしょうか。指揮の本図先生による編曲ということで、”吹奏楽”としての編成を活かしきった音がする独特な編曲だな、と思いながらいつも聴かせていただいておりました。演奏自体のクオリティは非常に高かったですが、欲を言えば、会場全体の空気をピンと張りつめさせる何かが欲しかったように思います。東関東大会では、聴衆を過集中にさせる演奏を期待しています(変なこと言いだしてごめんなさい)。

9.霞ヶ浦高等学校(指揮・俣野祐介)

課題曲:Ⅱ マーチ「エイプリル・リーフ」(近藤悠介)
自由曲:交響的詩曲「地獄変」(福島弘和)

課題曲冒頭からの明瞭な発音のトランペットが非常に印象的でした。
課題曲・自由曲通じてこのトランペットに演奏をリードされてされているように感じられましたが、バンド全体もそれにきちんと応えられていたので良かったです。バンド全体のバランスも悪くなかったですし。
自由曲は、福島作品独特のリズム感や節回し(?)がよく表現されていて面白く聴くことができました。
代表に絡むかと思ったんだけどナァ…。

13.県立水戸第三高等学校(指揮・村田孝夫)

課題曲:Ⅲ 行進曲「春」(福島弘和)
自由曲:交響詩ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」(R.シュトラウス/森田一浩)

課題曲Ⅲの冒頭が一番元気があったのはこのバンドでした(特にトロンボーン)。といいますか、全体的に元気がありました。元気があるというのは、音量ということだけではなく、音楽としての推進力としても、ということです。
(余談ですが、先日の岩手県大会では上位校は課題曲Ⅲについて神妙な曲として解釈しているところが多かったように感じましたが、茨城県の学校はどうもマッチョな演奏をするところが多かったように感じられました。県民性でしょうか…)
自由曲のホルンソロ、一番低い音にバストロンボーンをかぶせてなくてエラい(当然ですよね、失礼いたしました)。自由曲でも元気の良さは健在でしたが、場面によってはそれが粗さとなって出てきてしまっていたところもあったように感じました。各ソロ群は大きな傷もなく検討しておりました。
残念ながら、代表には届きませんでしたが、公立校としては唯一の金賞です。
(公立校出身の僕としては淋しい限りです。茨城県には指導力のある先生に対して異動の配慮はないのでしょうか…)

14.明秀学園日立高等学校(指揮・瓦吹弘樹)

課題曲:Ⅳ 行進曲「道標の先に」(岡田康汰)
自由曲:トリトン・エムファシス(長生淳

課題曲の行進曲は前奏をはじめ、やや重たく感じられます。”骨太”と”重たさ”はまた違うものだと思いますので、あと一歩の研究を期待したいと思います。
自由曲はテンポの遅い冒頭部では、丁寧に演奏されているという印象を持ちましたが、テンポが速くなってからは、その丁寧さが影をひそめてしまったのが残念です。細かな音程やアインザッツなどの乱れも散見されました。曲の持つ様々な側面を色彩感や場面転換で表現されていた点はお見事です。

17.聖徳大学附属取手聖徳女子中学校・高等学校(指揮・高橋友子)

課題曲:Ⅲ 行進曲「春」(福島弘和)
自由曲:パガニーニの主題による狂詩曲(S.ラフマニノフ/森田一浩)

今年も30人の比較的小さな編成でA部門に出場されており、その意欲には例年感心いたしております。
課題曲では小さな編成だからこそのすっきりとした演奏ながら、しっかりとバンド全体が鳴っているため、編成の小ささを感じさせないという演奏です。各声部間のアンバランスもなく、普段の合奏練習のレベルの高さがうかがえます。欲をいえば、突飛だったり、奇抜なことはしなくてもいいので、独自の個性的な表現がもう少し垣間見えたらナァ、なんて思ってしまいました。
自由曲は吹奏楽では比較的大きい編成で演奏されることが多い曲ですが、30人の編成で演奏することで、埋もれてしまいやすい音の動きがよくわかる演奏でした。しかしながら、その反面個々の音の動き同士がぶつかったり、混濁しやすくもなったりしますので、そこは交通整理が必要になってきます。
課題曲と自由曲を比較すると、課題曲の仕上がりが先行気味なので東関東大会では自由曲の仕上がりが鍵になってくるのかな、と感じました(このバンドに限らず、というか茨城県の傾向として今年は課題曲の仕上がりが先行しているバンドが多いように感じました。個人的にはそういうバンドの方が好きなのですが)。

18.茨城高等学校(指揮・蒔田宜幸)

課題曲:Ⅲ 行進曲「春」(福島弘和)
自由曲:ブリュッセル・レクイエム(B.アッペルモント)

なかなか面白い課題曲でした。対旋律のホルンを活かすよう心掛けた作り方をしています(僕、こういうのに弱いんです)。しかも、ホルンと同じ動きをしているサクソフォーンの音がホルンからはみ出ないようにバランスも考えられていて、感心しました(指導者によっては、対旋律のサクソフォーンは一緒に吹いているホルンやユーフォニアムの音からはみ出すと減点対象になるとまで言い出す先生もいるくらいなんです)。完全に僕の好みの作り方をされてしまいました。
自由曲はブリュッセル・レクイエムということで、大成女子様とかぶってしまいました(それだけ人気曲なんですネ)。どうしても比較になってしまいますが、テクニカルだったり、トゥッティのバランスだったり、スタミナだったり、様々な角度からみると、(2校を比較するのはシノビないのですが…)どうしても県大会の時点では茨城高校様に軍配が上がってしまいます。しかしながら、曲が進むにつれ勢い先行になってしまっていく傾向が見られますので、今一度勢いだけではない要素を見つめなおしていただきたいな、というのが期待するところでございます。東関東大会では是非とも進化した演奏を披露していただきたいと存じます。

 

 

他にも、素晴らしい演奏をされていたバンドはありましたが、僕のエントリを書く集中力の関係でここまでとさせていただきます。すみません。

今回も、このエラそうな文章を最後まで読んでいただきありがとうございました。

それでは、次回以降もよろしくお願いいたします。

 

2019年、岩手県大会はコチラ↓

hebo-chan.hatenablog.com

2019年、千葉県大会本選はコチラ↓

hebo-chan.hatenablog.com