保守雑誌感想文【2020年3月】
意志あるところに道はひらく(特集より)
我を忘れるほど真剣に仕事に打ち込む人、即ち私心のない、強い意志をもってひたむきに一つの仕事に打ち込む人に天は味方し、応援するのだそうです。
(しかし、この保守雑誌は"仕事"が好きですね、ルターの時代のプロテスタントのようです)
二宮尊徳もこのような言葉を残しています。
「世間、心力を尽くして私なき者、必ず功を成す」
私心なく心力を尽くす者は必ず成功する。それはそういう人を天が応援してくれるからだ、と自らの人生を顧みての述懐です。
また、一代で大松下グループを築いた松下幸之助氏は、意志を強く持つことの大事さをやさしい言葉で説いています。
「”むずかしいことだけれどやろうじゃないか”ということを言い続け、そしてやる努力を続けていけば、必ず事は成る。”もうできないだろう”とさじを投げたら、永遠にできない」
意志あるところに道はひらく―この言葉を範に、我々も自らの道を全うしたいものです。
かくして道なき道を切りひらいてきた
国鉄分割民営化を推進してきた葛西氏がこれまでの経験から実感したという、リーダーが持たなければならない七つの姿勢というものをここで紹介したいと思います。
- 「外向性」・・・中を安んじて外に向かうべきもの。
- 「自律性」・・・何を成すべきか、何が正しいかを自らの判断で決し、自らの意志で行動し、一人で結果責任を取る心構え。
- 「主動性」・・・有限の戦力で最大の効果を上げるためには主動が不可欠。主動によって集中・即行が可能になる。
- 「明快性」・・・何を是・非とし、何をせよ、何をするなと言うのか。
- 「不動性」・・・一旦決したら、遅疑逡巡しない。
- 「一体性」・・・信じて任せきり、成功体験を共有する。
- 「捨て身性」・・・(常に捨て身になる必要はないが、)何か大きな問題に取り組む、ここ一番という時には、敢えてリスクを取り、捨て身にならないといけない。
「リーダーが持たなければならない資質はこんなにもあるのか、リーダーって大変だな」というのが正直な感想です。しかしながら、このご時世、どんな人にでもリーダーシップは求められるものなので、他人ごとだと思ってボーッと生きてはいられません。
葛西氏は政治史、外交史、戦史、伝記といった書物を読み込んでいたなかなかの教養人なので、これだけのリーダーたる資質を洗い出せたのかもしれません。教養は大事です。
子供の未来をひらく教育
小俣幼児生活団主任保育士 大川繁子氏の記事より。
大川繁子氏が主任保育士を務める「小俣幼児生活団」は一般的な認可保育園ですが、モンテッソーリ教育*1やアドラー心理学*2を保育に取り入れた特徴のある保育園なのです。
(一言。保守雑誌で紹介されていたからといって、そっち系の教育をしている保育園ではありません)
この保育園が変わるターニングポイントとなったのは、初代園長(大川氏の義母)が亡くなり、保育の素人であった大川氏の次男が園長に就いたことでした。 当時の小俣幼児生活団では、給食を残したり、お昼寝をしなかった園児が保育士に怒られるということが度々あったようです。その教育方針に疑問を抱いた大川氏の次男がモンテッソーリ教育やアドラー心理学を保育に取り入れるきっかけを作りました。
小俣幼児生活団の場合は、保育の勉強してきた保育士たちが「栄養を取らせなければいけないので、給食は残さず食べさせるべき」「成長のためにはお昼寝をさせなければならない」と、知識があるがゆえに、「ねばならぬ」「べき」といった固定観念にとらわれていたといいます。
これは保育に限らず、我々も学校などで専門的に学んできたことや、何年もの間仕事をしてきて身につけてきたことが固定観念として、何かの邪魔になるということはあり得ることだと思います。固定観念から離れる機会を積極的に持つようにしたいものです。
他の方の保守雑誌感想文のご紹介
これまでの保守雑誌感想文
*1:これはイタリア初の女性医師として知られるマリア・モンテッソーリ(1870~1952)によって考案された教育法で、子供には本来、自分を育てる力が備わっているという「自己教育力」を前提に自発的な活動を促すものです。歩行の仕方を教えなくても、歩こうとするのがその一例です。また、子供には敏感期と呼ばれる「こだわり」を強くする時期があり、それを認めてあげることが大事だと説いています。
*2:アドラー心理学とは、オーストリアの精神科医アルフレッド・アドラー(1870~1973)が創始した学問で、原因ではなく目的をベースに物事を考察する考え方です。中でも特に、大人と子供を対等な立場と捉える考え方に大きな気づきを得、いまから二十年前に小俣幼児生活団で採用されました。