”やらされ感”で指揮者をしているあなたへ
学生指揮時代の経験
僕、実は大学の吹奏楽部で学生指揮を”させられて”いたんです。大学3年生の時でした。
自分では”やらされ感”があったものですから、ふてくされながらやっていたんですけど、コンクールの曲だけは僕が希望した曲をやらせてもらえました。
しかしながら、”やらされ感”のある指揮者なんて奏者からはナメられて当然で、コンクールの練習では、常に寝ぼけた音がしていた記憶があります。
そんな中、月に数回指導を依頼していた外部指導者の方のレッスンの際、テンポの速い楽章(2楽章形式の曲でした)を演奏することになったのですが、その外部指導者の方が指揮を振ると、音がバンバン飛んできて(普段の寝ぼけた音は何だったのでしょう)、妙なドライブ感が産まれていたんです。
この奇妙な現象にあっけにとられたことを10年ほどたった今でも覚えています。
当時は、何の音楽的素養のない人間(僕のことです)が指揮を振るのとは違って、有名な指揮者が振れば、みんなちゃんと演奏するんだナァ、くらいにしか思っていませんでした。
最近見かけたつぶやきから
指揮者は音を出さない。
— 中村睦郎(ナカムラムツオ) (@NAKAMURAMUTSUO) 2019年6月4日
と言うことは、演奏者が音を出してくれてナンボと言うこと。
と言うことは、演奏者に対して常にリスペクトがなくてはならないと言うこと。
と言うことは、例えそれが中学生だろうと高校生だろうとプロだろうと同じだと言うこと。
指揮者は音を出さない。
と言うことなんだな。
これはプロのユーフォニアム奏者の中村睦郎先生のつぶやきです。指揮者としても幅広く活躍されています。
今思えば、”やらされ感”で学生指揮をしていた僕は、奏者に対するリスペクトが圧倒的に不足していたのでしょう。
それに対して、奏者のポテンシャルを引き出した外部指導者の先生は(下手糞なアマチュア大学生相手ではありますが)一定のリスペクトをもって指導に当たられていたのでしょうし、奏者の側も先生のことを信頼して演奏していたため、ああいった演奏ができたのでしょう。
このことに気づくまで、ステージから離れてから10年近くかかりました。
当時の”やらされ感”たっぷりの僕はどうしようもありませんが、もし、今現在”やらされ感”たっぷりで指揮者をされている方がいたら、このエントリが伝えたいことが届きますように。
以上。
新品価格 |