ホウ砂に吹かれて

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東京都吹奏楽コンクール2003一般の部CDレビュー

 

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某所で2003年の東京都吹奏楽コンクール一般の部のCDを入手しましたので、早速でありますが、レビューをしてみたいと思います。

 

1.東京正人吹奏楽団(指揮・鈴木正人

課題曲:Ⅴ マーチ「列車で行こう」(川村昌樹)
自由曲:《日本組曲》より盆踊、演伶、佞武多(伊福部昭鈴木正人編)

  個々の技術レベルが高く、見事な演奏です。朝一番の演奏だったようですが、さらに広い普門館ということを感じさせず(録音だから?)、難しいオトナ向けの課題曲Ⅴを意欲的に演奏されていました。リズム・パートのシンコペーションやアクセントの効果を面白く聞かせられるくらい、表現に余裕があると、さらに良かったと思います。また、Tuttiの響きはバランスや音色のコントロール感が今一歩という印象です。

 自由曲は奏者の積極的な表現が印象に残りました。音楽の内容を理解して伸び伸びと表現されているので、説得力のある演奏だったように感じます。伊福部氏の作品らしさがよく表現されていました。―銀賞

 

2.足立吹奏楽団(指揮・増田和典)

課題曲:Ⅲ 行進曲「虹色の風」(松尾善雄)
自由曲:悪魔の踊り(ヘルメスベルガー二世/高橋徹編)

  始終落ち着きのある良い演奏だったように思います。課題曲は少々優しすぎる印象があるほど、表現が非常に丁寧で、美しい音色で音楽を聴かせていただきました。強奏時もTuttiサウンドが破綻しないのは流石です(当たり前のことのように思われるかもしれませんが、これがちゃんとできていないバンドは大人でもいっぱいあるんです)。欲を言えば、リズミカルな表現の発音や、音楽のスピード感をより積極的に表現すると、さらに良くなるのではないか、と考えながら聴いていました。

 自由曲もとても上品な美しい(クラシック作品にマッチした)響きで、全体的に表情を優しくまとめていたように感じます。しかしながら、曲想を考慮すると、場面や楽器の役割によっては、より力強い響きが必要なところもあったと思いました。表現によって様々な音型の音が聴きたかったな、というのが正直な感想です。―銀賞

 

3.創価グロリア吹奏楽団(指揮・佐川聖二)

課題曲:Ⅳ マーチ「ベスト・フレンド」(松浦伸吾)
自由曲:ラ・フォルム・ドゥ・シャク・アムール・ションジュ・コム・ル・カレイドスコープ(天野正道

 課題曲では、冒頭の歯切れの良さが印象的です。Trioも各声部のバランスが良好で文句なしの仕上がりです。全体的には、旋律の扱いが優雅で音楽的なのが特に印象に残りました。(確か)演奏人数が多いにもかかわらず、統率が良く取れており見事です。

 自由曲では、吹奏楽らしからぬ非常に美しくかつ柔らかいサウンドで、豊かな感動的な音楽でした。(全国大会の音源と比較して聴くと、)サウンドやテクニック的な部分など、全国大会までに詰めるべき部分はあるように感じられますが、正直なところ、この中では別世界の演奏という印象を受けました。―金賞・代表

 

4.武蔵村山ウインドアンサンブル(指揮・進藤潤)

課題曲:Ⅱ  イギリス民謡による行進曲(高橋宏樹)
自由曲:交響組曲第3番《GR》より(天野正道

  旋律の取り扱いが丁寧で、美しい演奏でした。課題曲では個々の奏者が上行形・下行形での音程感覚を意識して演奏できると、説得力が増したのではないかと思います。さらに、決めどころで音程が上がり切れると、達成感がもっと表現できたのに!と思いながら聴いていました。

 自由曲は素晴らしい演奏で、特に中間部からの構成と、それに伴ってサウンドのまとまりが感じられた点が特に良かったように思います。メロディーの美しさと”音楽をどこまで表現できるか”をよく研究されたのではないか、ということを考えさせられながら聴くことが出来ました。―銅賞

 

5.豊島区吹奏楽団(指揮・西村友)

課題曲:Ⅰ ウィナーズ ~吹奏楽のための行進曲(諏訪雅彦)
自由曲:交響的舞曲作品45より第3楽章(ラフマニノフ/佐藤正人編)

  なんとなく聴いている分には、大人しい印象を受けますが、テクニカルな表現もはかばかしい、そのような演奏をするバンドのように感じました。課題曲ではリズムや音楽のスピード感に工夫が感じられ、生き生きとした演奏となっていました。長いフレーズやソリスティックな場面の対比を感じられる演奏を期待したかったところです。

 自由曲は、色彩感の感じられる素晴らしい演奏でした。技術的な点として、タンギングのスピードと響きがトレードオフになってしまっていたようです。特に、原曲の弦楽器のダンスの箇所は、より深い響きをイメージでもって、踊りのより安定したリズム感を表現する必要があるのでは…と感じました。―銀賞

 

6.Harmony of the Winds(指揮・近藤久敦)

課題曲:Ⅳ マーチ「ベスト・フレンド」(松浦伸吾)
自由曲:《スラブ舞曲集》第2集よりⅠ,Ⅱ,Ⅶ(ドヴォルザーク/近藤久敦編)

 美しく表現力に富んだ素晴らしい音色をしており、課題曲は曲中の仕掛けを的確かつ存分に取り上げた演奏で楽しく聴けました。しかしながら、流れに少々荒さを感じたのも正直なところです。また、各声部ごとの響きをもう少しまとめる余裕があると、さらに演奏が良くなったのでは…と思いました。

 自由曲は表現が豊かで、音楽的な演奏だったように思います。明るく(好みは分かれますが)スピーディな表現がとても素晴らしく、肩の力が抜けた音楽を聴くことが出来ました。第2番の音程や響きが、多少不安定になってしまったのはもったいなかったと思います。旋律の歌い方は丁寧で、本当に素晴らしい音楽性をしているように感じられました。―銅賞

 

今回はこの辺で終わりたいと思います!

また機会があれば、何らかのCDのレビューを書いてみようかと思います。

それでは、またお会いしましょう!

See you again!