ホウ砂に吹かれて

コンサータ72mg男が書きたいことを書きたいときに書くブログ

『戦国武将の精神分析』第2章を読んで

 

 

今回は前回のエントリの続きとして、『戦国武将の精神分析』の第2章、

サイコパスの疑いあり”について取り上げてまいりたいと思います。

内容としてはサイコパスが疑われる戦国武将に関するものになります。

どうか今回も最後までお付き合いくださいませませ。

 

hebo-chan.hatenablog.com

 

 

川中島の戦いの決着は…

サイコパスが疑われる最初の武将は武田信玄です。

武田信玄vs上杉謙信で有名な川中島の戦いですが、

「信玄は弟や重臣を失ったことから、どちらかといえば、

謙信の勝利ではないか」と主張する歴史研究者がいる

一方で、本郷和人先生はそれは違うのではないかと

考えています。

というのも、川中島の戦いで一番激しかった

永禄4(1561)年の第四次の戦いで、確かに信玄は

弟の信繁や重臣の両角虎定を失っているのですが、

弟や家臣を捨て駒として使っていたのかもしれないと

いうこともあり得るからです。

結局のところ、信玄が「この駒を捨ててもここは取る」

という計算をしていたかどうかはわかりませんが、

もしそうであるなら、かなりサイコパシーが高い人物と

いうことになります。

 

 

歴史学者をも欺いた織田信長

次にサイコパスが疑われるのは織田信長です。

本郷先生はかつて、貧しくて身体に障害のある

物乞いに対して、信長は妙に優しくしたという

エピソードから、「信長は本当は優しい人間

だったんじゃないか」と書いてしまったことが

あるそうです。

しかし、それに対して中野信子先生は

「そう思わせたほうがいい相手」や

「その振る舞いを見せつけたい誰か」の存在を

想定して、”プレゼン”だったのではないかと

分析しています。

そこで、落胆した本郷先生のこの一言が出ました。

本郷 あぁ、見損なった。 

信長に関しては、このほかにもサイコパスと思わずには

いられないエピソードや分析がたくさん出てきます。

 

 

小型の信長、松永久秀

織田信長に関連して、信長に仕えながらも裏切りを

繰り返した松永久秀についても触れられています。

本郷先生は久秀のことを小型の信長と呼んでいる

のですが、どうやら信長とは違いサイコパスでは

ないようなのです。

サイコパスでなければ、何に当てはまるのかというと、

中野先生曰く、”ソシオパス”に当てはまるというのです。

ここで簡単に説明すると、サイコパスは先天的であるのに

対し、ソシオパスは後天的な反社会性パーソナリティ障害に

なります。

では、どういった点でサイコパスではなく、ソシオパスで

あるかといえば、久秀が茶人として優れ、数々の建築物を残し、

美に執着した人物であった、という点でサイコパスとは

異なるというのです。

というのも、美的センスと良心は脳の同じところで

処理されることから、美しさを判断できた久秀は

サイコパスではなくソシオパスということになります。

そんなソシオパス久秀は、信長からの「平蜘蛛の茶釜を

差し出せ」との命令に背き、最期を迎えます。

 

 

妄想症のパラノイア豊臣秀次

サイコパスとは違いますが、パラノイアとして、

豊臣秀次にも触れられていました。

秀次には被害妄想があったということから、

中野先生はパラノイアだったのではないか、と

分析されています。

潜在的自己評価が低い場合、ナルシストになるのに対して、

顕在的自己評価が低いのに、潜在的自己評価が異様に高い場合、

秀次のような妄想症のパラノイアになってしまうといいます。

パラノイアの特徴として、「異常な支配欲」が挙げられますが、

秀次も多分に漏れず、100パーセント支配しないと気が済まない

人物だったことが、本郷先生の話から窺い知ることができます。

本郷 (略)秀吉は秀次にものすごく配慮をして、「日本の5分の4はお前にやるから、5分の1を秀頼にやってくれないか」と下手に出たわけですよ。ところが秀次は撥ねつけてしまうんです。(略)この秀吉が妥協案を出した時、なぜ秀次は、ある程度のところで折り合いをつけることができなかったんだろう、というのが僕の大きな疑問なんです。 

 

本郷 (略)「秀頼殿を俺の養子とかにしましょうか」とか秀吉に申しでて、秀頼を自身の養子にして、「俺の次の天下は秀頼殿でいいですよ。そのかわり俺は中継ぎとして頑張ります。秀頼殿が天下を取った暁には俺もそれなりにいい暮らしをさせてください」と、何で言えなかったのかなって思ってしまうんです。 

 

 

オーストラリアのとある大学の研究では、企業の

CEOにはサイコパスが5人にひとりはいるという

結果が出ているとのことですが、戦国武将についても

同様なのかも知れませんネ。

 

ということで、今回のエントリはここまでになります。

今回も最後までお付き合いいただきありがとうございました!

それでは、また次回お会いしましょう。

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